京アニ放火殺人事件・青葉死刑囚“本人”「控訴取下げ」も弁護人が「無効」申入れ …その“思惑”とは
京アニ放火殺人事件・青葉死刑囚“本人”「控訴取下げ」も弁護人が「無効」申入れ …その“思惑”とは
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36人の死者が出た「京都アニメーション」放火殺人事件(2019年7月)。2024年1月の一審で死刑判決を受けた青葉真司死刑囚(46)は当初、不服として控訴していたが、2025年1月27日付けで控訴を取り下げた。
その後、青葉死刑囚の弁護人が本人による控訴取下げを無効とするよう大阪高裁に申し入れた。社会に大きな衝撃を与えた事件に区切りがついたと思われたなかでのこの判断。そこにはどのような意図や狙いがあるのか。
なぜ本人による取下げを「無効」と主張するのか
刑事手続に詳しい荒木謙人弁護士は次のように考察する。
「控訴の取下げを行う時点において、被告人本人が適切な判断能力を有していなかった可能性や、熟考せずに取下げをしてしまった可能性があります。特に今回は、弁護人ではなく被告人自ら取下げを行っていますから、弁護人と十分に協議することなく、衝動的に取下げをしてしまったことも考えられます」
1981年の神奈川・藤沢市などで一家3人を含む5人が殺害された事件では、一審で死刑判決を受けた元死刑囚が控訴審途中に自ら控訴を取り下げ、後にその有効性が争われた。最高裁は「死刑判決を宣告された衝撃などで精神障害が生じ、その苦痛から逃れるために取り下げたと認められる」と判断し、無効だと認めている。
一方、2015年に大阪・寝屋川市の中学1年生の男女が殺害された事件では、一審で死刑判決を受けた死刑囚がみずから控訴を取り下げたのに対し、大阪高裁は一度取下げを無効としたものの、2度に渡って控訴を取り下げたことで、最終的には有効と判断し、控訴審を行わないことを決定した。
被告人の権利を守るため最善を尽くすのが使命
死刑は最も重い判決ゆえ、たとえ本人の意向でも、より慎重な判断が求められるということだ。そのうえで、荒木弁護士は次のように補足する。
「刑が確定すれば、再審で争うしか方法がありません。弁護人としては、被告人本人の意思を尊重しつつも、“控訴審で審理を受ける機会”を残そうとしたのだと考えられます」
弁護人の役割は、被疑者・被告人の権利を守ることである。そのため、被告人が適切に審理を受けるための弁護活動をすることは、弁護人として当然の判断といえる。
引用元: ・京アニ放火殺人事件・青葉死刑囚“本人”「控訴取下げ」も弁護人が「無効」申入れ …その“思惑”とは [582792952]
弁護人による申入れをどう考えるべきか
一方で、遺族にとっては苦痛が長引くことなり、その胸中は複雑だろう。
「被害者や遺族は、判決確定により、ある程度の区切りを得ることを望む場合が多いと考えられます。そこで再度、審理が継続する可能性が生じると、精神的な負担が今後も続くことになります。
とりわけ本件のように社会的影響が大きく、多くの犠牲者・負傷者がいる事件では、被害者や遺族の心理的負担は、より一層大きいと思われます」(荒木弁護士)
罪のない36人の命を奪ったとされるこの事件は、社会的にも大きな衝撃を与えた。遺族でなくとも「本人が受け入れているのになぜ」と憤りを感じ、控訴取下げの無効を申し入れた弁護人に対し、否定的な考えを持つ人もいるかもしれない。
「一見すると、弁護人の行動は、被告人の意向や、被害者・遺族の思いに反しているようにも見えます。
しかし、刑事裁判においては、国家による刑罰権の行使を適切にコントロールする必要があり、弁護人の意向も十分に尊重されるべきです。より分かりやすく言えば、今回の場合、弁護人は『被告人を保護し、最大限の防御を図る』ために、裁判の再開を求めていると考えられます。
日本では三審制が取られていますので、刑事裁判においても一審のあとは、控訴審、上告審と争うことが可能です。死刑という重い刑罰が科され得る事件だからこそ、十分な審理を行うために、弁護人としては裁判の再開を求めたという事情をご理解いただければと思います」
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