シンガー・ソングライターaikoさんの所属事務所の元取締役に実刑判決　グッズ価格を水増し請求

シンガー・ソングライターのaikoさんのツアーグッズを不当に高く仕入れ、aikoさんの個人事務所「buddy　go」に損害を与えたとして、会社法違反（特別背任）の罪に問われた同社の元役員千葉篤史被告（58）に対し、東京地裁（薄井真由子裁判長）は3日、懲役3年4カ月（求刑懲役5年）とする判決を言い渡した。

判決によると、被告は2016年9月～19年1月、ツアーグッズの仕入れ過程に知人の会社を介在させ、水増しした価格でbuddy社に転売させて計約1億円の損害を与えた。知人の会社と被告の間では、転売で得られる利益の9割を被告の取り分とする契約が結ばれていた。

被告は公判で「損害が発生したとは思わない」などと述べ、無罪を主張。公判にはaikoさんも証人として出廷し、グッズ制作に被告が関わるようになった経緯などを説明したほか「（被告に）洗脳されていた」とも述べた。

判決は、被告は取締役として同社の無用な支出を避けるなどの義務があったのに、buddy社に必要のない支払いをさせたと指摘。被告は犯行で得た金をbuddy社の業務とは無関係のものに使っており、「被告自身の利益のためだった」と認定した。

そのうえで、被告がaikoさんらのために尽力していた点は認めつつ、「順法精神に欠けた安易な犯行だった」と批判した。