ケースワーカー「一人で１００世帯見るなんて無理。詐病申請を通す医者が悪い」

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■悪質な不正受給者が足を引っ張る
「先日も『パワハラが原因で退職し、PTSDを発症して働くことができない』と申請してきた
　シングルマザーの方がいたのですが、調査してみると、実は陰で経済的援助をする男性がいました。
　ネット上には『働いたら負け』などと煽って生活保護の不正受給の仕方について指南するサイトがいくつもあり、
　主にそういった場所で知識を得ているようです」

こういった前例があると、福祉事務所も面談のたびに警戒せざるを得なくなり、
おのずと審査は厳しくなる弊害が生まれるという。

「よく、私たちのような生活保護の担当者は『血も涙もない』ような言い方をされますが、
　担当者には皆さまの税金を使う責任がありますので慎重な対応が求められるのです。
　こちらとしては決して拒絶しているわけではないのですが、申請者と担当者の意思疎通がうまく行かなかったために、
　本当に必要な人に支援が届かないという事例は全国的にあると思います」

■ケースワーカーは激務
生活保護者が増え続ける中、ケースワーカーの仕事は
「いくら時間があっても足りない状況」だと伊藤さんは訴える。
人員不足は全国で起きており、1人で100世帯以上の生活保護世帯を担当するのはざらだという。
国の基準である〈80世帯につき1人(市町村)又は65世帯に1人(都道府県)を標準〉を上回る範囲だ。

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伊藤さんも100世帯近くを担当しているというが、
「私も、全世帯をコンスタントに回るには時間が足りなくて、結果として1年以上会えていない人もでています。
　みんな状況は同じで、あまりのオーバーワークに悲鳴をあげる職員は後を絶たず『これ以上仕事を増やしたくない』一心で、
　本来は申請の対象になるはずの相手に難癖をつけて、追い返そうとするケースワーカーも残念ながら存在します」

激務に追われるなか、さらに“健全な社会福祉”の足を引っ張っているのが「負の遺産」だという。

「例えば不正を疑う市民からの通報で明らかになった不正受給者の存在です。
　単純に見抜けなかったケース、クレーマー化した申請者に連日のように責められた担当者が
　精神的に追い詰められて受理してしまったというケースなどがあります。
　再審理にかけたくとも人手も時間も足りないうえ、再審理が始まれば不正受給者から性善説や人権を持ち出された挙句、
　罵倒されたり、怖い思いをすることもあるので、真摯に向き合おうとする職員は減るばかりです」

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＜続く＞

https://news.yahoo.co.jp/articles/7dded45c130c99b9c03117c04a1c569e0f0b8f74

「精神的な疾患が原因で就労が不可能ということで10年ほど前から生活保護で暮らしている30代のご夫婦です。
　夫は、複数の地域住民からパチンコやキャバクラ通いなどが何度も目撃されているため、
　保護費の不適切な使い方に疑問が持たれています」

この夫婦は、正規の病院で作成された診断書に「就労不可能」だと書かれていたというが、
その病院は、県下の福祉事務所が詐病申請の温床としてマークしている医療機関だったという。
「案の定、診断書は当人たちの自己申告によって症状が認定されていて、
　客観的な裏付けがありませんでした。とはいえ医師免許を持った医者が出している診断書のため無視はできません。
　夫婦は、受給条件である福祉事務所が指定する病院の定期通院(3ヵ月に1回)も体調不良を理由になかなか行こうとせず、
　精神疾患を可視化できる〈光トポグラフィー検査〉については『怖いからイヤだ』と完全に拒否しています。
　私たちの面談では、把握している不正受給するためのマニュアル通りの答えを、毎回オウムのように繰り返します。
　前任者はなぜこの夫婦の申請を通したのか…」

日中、夫が家の前で、
「働いたら負けだよな…と言いながらタバコを吸っていた」という絵に描いたような苦情も届いているという。
　そして、何よりも「住民からの反感を買っている」というのが夫婦の子どもについてだった。

「この夫婦には8人のお子さんがいますが、下の4人は生活保護を受給してから生まれています。
　それについて反発の声が非常に大きいです」

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＜終わり＞