【伊賀鉄道】いに限界か 15年間で利用客「45%減」運賃値上げも自治体が毎年1億円補填の現実
【伊賀鉄道】いに限界か 15年間で利用客「45%減」運賃値上げも自治体が毎年1億円補填の現実
2025.3.19
https://merkmal-biz.jp/post/88921/2
三重県伊賀市の伊賀鉄道が運賃を値上げした。慢性的な赤字経営を打開するための措置だが、地域の人口減少と高齢化が続き、先行きは依然として厳しい。
■年間利用客数はピーク時の3割弱
伊賀線は1916(大正5)年、地元の伊賀軌道が上野駅連絡所(現伊賀上野駅)~上野町駅(現上野市駅)間を開業した。その後、伊賀神戸駅の前身に当たる庄田駅を経由して現在の三重県名張市にあった西名張駅まで路線が伸びていた。伊賀神戸~西名張間は1964(昭和39)年、廃止されている。
戦時中の1944年、近鉄伊賀線となり、沿線住民の暮らしを長く支えてきたが、車社会の進行とともに利用客が減少に向かう。21世紀に入ると伊賀市が人口減少に転じ、利用客の減少に拍車を掛けた。2006(平成18)年度の赤字は約4億円。近鉄は自社単独での維持が困難として伊賀市に協議を申し入れ、伊賀鉄道が設立された。
施設や車両は近鉄所有のままで、伊賀鉄道が運行に専念する上下分離方式を採用したが、利用客の減少に歯止めが掛からない。近鉄が施設を保有していたのでは交付されない鉄道施設や車両の更新、維持管理に国の補助金を得るため、施設や車両を伊賀市が保有し、伊賀鉄道に無償貸与する公有民営方式を2017年度から導入した。
しかし、伊賀線の年間利用客数は2023年度で約112万人。コロナ禍の影響が残る前年度を4万人以上下回り、伊賀鉄道発足直後の2008年度(約204万人)に比べるとざっと5割強、近鉄時代のピーク時に当たる1966年度(約414万人)だと3割弱まで落ち込んでいる。
2023年度の営業収支は収入1億8100万円に対し、経費3億500万円。近鉄から伊賀市へ施設や車両が譲渡された際に近鉄の拠出で設けられた3億円の基金が枯渇したため、伊賀市が毎年1億円程度を補填して運行を継続しているのが実情だ。
伊賀市は2000年に848人あった出生数が2023年で367人に半減している。伊賀市交通戦略課は
「今後の人口減少を考えると状況は厳しいが、伊賀線は市民にとってなくてはならない路線。新たな手を考えたい」
とあきらめていない。2025年度は上野市駅のトイレ改修や関西に殺到する訪日外国人観光客の誘致検討を進めたいとしている。
■人口減少が鉄道経営を圧迫
伊賀市は2007(平成19)年、上野市と伊賀町など5町村合併で発足した。中心となる旧上野市は江戸時代、現在の三重県津市に居城を構える津藩の領地で、藩主の藤堂氏が上野城に城代を置いて統治した。城下町は狭い路地が碁盤の目のように整備され、小京都の雰囲気を漂わせる。
1980年代までは市中心部に学校や金融機関、商店街、公共施設、娯楽施設が集まり、近鉄伊賀線が市民を運ぶ今でいうコンパクトシティを形成していた。上野市駅前の新天地商店街を歩いていた年金生活の男性(76歳)は
「昔は中心部にいればすべての用を済ますことができた。街には活気があった」
と振り返る。
■車社会の進行で市中心部が空洞化
しかし、大人ひとりに車1台が当たり前の時代になると、郊外に住宅地や商業施設が整備される一方、市中心部で空き家や空き地が増える。商店街は人通りが減り、シャッター街に。伊賀市に前身のひとつを持つ中京銀行の支店や市内唯一の映画館が営業を終えた。
伊賀市や伊賀鉄道はイオンタウン伊賀上野駅近くの四十九町に住民の要望で新駅を設置したほか、交通系ICカードの導入や通学定期券購入への補助などを進めているが、大きな効果は出ていない。伊賀忍者を柱にした観光も2006年に年間300万人を超えた入込客数が150万人を下回って苦戦している。
名阪国道沿いに点在する製造業と農業が基幹産業だが、街の活気が次第に失われているのは事実。伊賀鉄道の利用者を増やすとしても、街に活気が戻らなければ実現は難しい。かといって、人口減少下で地方の活性化が成功した事例はわずかだ。持続的経営は可能なのか、伊賀鉄道を取り巻く状況は頭の痛い局面が続いている。
引用元: ・【伊賀鉄道】いに限界か 15年間で利用客「45%減」運賃値上げも自治体が毎年1億円補填の現実 [七波羅探題★]
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