NHKの戦後80年ドラマ『昭和16年夏の敗戦』登場人物とされたモデルの遺族「あまりにも卑劣に描かれた」　NHKを名誉棄損で提訴へ

NHKが8月に放送した戦後80年関連ドラマの登場人物の描き方について、モデルとされた人物の孫で元駐仏大使の飯村豊氏がNHKに対し、名誉毀損で民事訴訟を起こす方針を固めたことが10日、分かった。飯村氏は「ドラマとはいえあまりにも卑劣な人物に描かれ、名誉を傷つけられた」と述べており、準備が整い次第、今月中にも東京地裁に提訴する。

問題の番組は8月16、17両日に戦後80年関連として放送されたNHKスペシャル「シミュレーション～昭和16年夏の敗戦～」。日米開戦直前に設立された首相直属の総力戦研究所を舞台に、メンバーの若手官僚らが日本必敗のシミュレーション結果を導き出すが、政府は聞き入れずに戦争に突入する、という史実に基づくストーリーだ。

ドラマ内で研究所の所長はメンバーの自由な議論を阻害し、日本が敗れる結論を覆すよう圧力をかける存在として描かれた。ただ、実際の所長だった飯村穣陸軍中将は、史料や関係者の証言などから、若手がのびのび議論できるよう後押ししていたとされる。孫の豊氏は「史実のドラマ化には超えてはならない一線がある。誤った歴史が広まってしまう恐れがあり視聴者に誤解を与えかねない」と指摘。すでに放送倫理・番組向上機構（BPO）に申し立てた。

この問題に関し、NHKの稲葉延雄会長は記者会見で「ドラマを面白くするために史実と異なる脚色をしたと指摘されてもおかしくない」と述べた。一方、脚本や演出を担当した映画監督の石井裕也氏は「個人の人格や人間性を再現することがテーマではなく、当時の状況とそこに生きる人々の葛藤を伝えることが主眼の作品だ」とコメントしている。

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https://www.iza.ne.jp/article/20250917-REU3D5LZ3ZOF5GJQKOZT3UC26Q/

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