「メール110番」運用中止へ　大量の迷惑メールで業務に支障　熊本

110番アプリを説明する熊本県警の動画=熊本県警提供

　障害者向けに運用している「メール110番」に大量の迷惑メールが送られてくることから、熊本県警は2026年3月末で運用を中止することを決めた。メールを確認する作業で、通常業務にも支障が出ているという。これに伴い、事前登録すればチャットで通報できる「110番アプリ」などの利用促進を図る。

　「メール110番」は電話による通報が困難な人や、言語や聴覚に障害がある人向けにつくられた、携帯電話やパソコンのメールで110番通報できるサービス。県警では02年に導入された。

　ところが、ここ数年は、企業広告やいたずらなど無関係なメールが大量に届くようになったという。24年は届いた約7300件のうち、有効なメールは約30件のみ。メールの確認を担当する県警通信指令課では、電話での110番通報を受ける傍ら、メールチェックを行っているため、日常業務に支障が出ているという。

　このため今年度末で運用をやめ、警察庁が開発した「110番アプリ」や、通訳オペレーターが仲介する「電話リレーサービス」の運用に切り替える。いずれも事前登録が必要なため、関係団体への説明を進めるという。

　「メール110番」に大量の迷惑メールが送られてくる問題は、各地の警察でも起きている。今回の運用方針の変更について、鹿児島や宮城など他県の警察からも、問い合わせが来ているという。

　通信指令課の立山誠一郎次席は「必要な方が必要な時に使えるように、110番の適切な使い方を心がけてしてほしい」としている。