長野 辰野町 　「自分のことをさらけ出すな」など性的指向発言制限は不適切　 報告書公表

04月16日　18時01分

辰野町の学童クラブで性的マイノリティーであることを公表して勤務していた支援員が、町の教育委員会の職員から「自分をさらけ出すな」などと性的指向に関する発言を制限されたあと退職し、教育委員会の依頼を受けた弁護士は「人格を深く傷つけた」として職員の言動は不適切だったとする報告書を公表しました。

この報告書は辰野町教育委員会の依頼を受けた弁護士が１６日会見し、公表しました。

それによりますと去年、町の学童クラブで勤務していた支援員の伊東麗奈さんが児童からの恋愛相談や会話の中で「ありのまま誰かを好きになることは悪くない」とか、「私は男の人も女の人も好きになれる」と答えたところ、クラブを担当していた町の教育委員会の職員が「自分のことをさらけ出すな」などと指導したということです。

そのうえで報告書では教育委員会の職員は、文部科学省の方針に基づいた性的マイノリティーについての研修を重ねていたものの、形式的な理解にとどまっていたと指摘したほか伊東さんの立場と心、それにこれまでの人生を思いやることなく、心と人格を深く傷つけたとしています。

また、伊東さんの意向も踏まえ、職員の処分は必要ないとしています。

伊東さんは性的マイノリティーであることを公表して働いていましたが去年１１月に支援員をやめ、町に対して性的マイノリティーについての理解を深めることなどを求めていました。

会見に同席した町の宮澤和徳教育長は「伊東さんが自分の生き方まで否定されたと思われてしまったことに深くお詫びしたい」と謝罪したうえで、あらゆる人権に関わる研修をしていきたいという考えを示しました。

一方、会見を傍聴していた伊東さんは「性的マイノリティーに対して本当の意味で理解をしてほしい。子どもたちが自分らしく生きることができる町に変わってほしい」と話していました。