【OD】「お薬もぐもぐ」野放しでいいのか　SNS上で公然と医薬品のヤミ取引

　若者を中心に市販薬などを過剰摂取するオーバードーズ（OD）が深刻化する中、交流サイト（SNS）が入手ルートの一つになっている。SNS上の「＃お薬もぐもぐ」という投稿が売り手と買い手をつないでおり、警視庁に逮捕された女もこのハッシュタグ（検索目印）をつけて、向精神薬を売っていた。専門家は「ODは健康に影響を及ぼし、自死するために薬を使う人もいる。資格がないまま薬を転売する行為は命に直結する」と警鐘を鳴らす。（西川正志）
◆SNSやフリマサイトで仕入れた薬を転売
　「薬を求める人がいたから販売を続けた」。不眠治療などに用いられる向精神薬「ゾルピデム」など約180錠を、女性3人に売ったとして、麻薬取締法違反の疑いで逮捕・起訴された無職の女（52）は動機をそう話した。
「＃お薬もぐもぐ」のハッシュタグとともに薬の売買を持ちかけるX上の投稿

　捜査関係者によると、女が薬の違法な販売を始めたのは2022年10月ごろだ。薬に関する専門知識や医療現場での勤務経験はなかったが、SNSやフリマサイトで入手した薬を、SNSで転売。自宅からはいずれも処方箋が必要な薬や向精神薬約5500錠が見つかったという。
　女が薬を売るために使ったのがX（旧ツイッター）で、「＃お薬もぐもぐ」と投稿し、買い手を募集。連絡をくれた人を秘匿性の高い通信アプリなどに誘導して取引の詳細を決め、薬を郵送。わずか2年間で50人に売り、約1000万円の売り上げがあったという。
◆厚労省はフリマ運営者に削除要請をしているが…
　Xで「＃お薬もぐもぐ」と検索すると、絵文字や隠語を使って薬の売買を求める投稿が山のように出てくる。不正流通薬品に詳しい金沢大薬学系の吉田直子准教授の調査では、…(以下有料版で，残り 453文字)

東京新聞　2025年10月13日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/442202